日本各地の祭り

山形県の県の形とイラスト

原稿を書いている8月の終わりはまだまだ暑く、おそらく掲載される9月も、朝方はいくらか涼しくなって、過ごしやすくはなるものの、まだ残暑が残っていることと思います。 みなさん暑い中ご苦労様です。 コロナでいろいろなものが中止になってしまったり、無くなってしまったりしていると思います。 そういった意味で今年はあまり夏を感じませんでした。もちろん暑いは暑いし、寝苦しいし季節は夏なんですけど、海に行ったり、BBQしたり、実家に帰省したり、いつもの夏だったら当たり前に行っていたことができなく、もしくはひっそりと、気を使いながらしなくちゃいけないから何となく夏を感じない。

今年はいろいろなお祭りが日本全国で中止に

個人的に夏は春夏秋冬の中で1番気を使わないでいい季節の気がします。夏は大声でしょう!夏は大きな口で食べるでしょう!夏は大胆でしょ!という事で1番気を使わなくていい季節、夏なのに気を使いながら行動しているので夏を感じないのです。 季節は気候だけでなく雰囲気でも感じるものだと思っています。 夏を感じる上位ランカーに「祭」があると思います。大きなお祭りから近所の小さな夏祭りまで、いろいろなお祭りが日本全国で中止になりました。これは日本の夏の危機でもあります。 日本全国さまざまなお祭りがあり、小さいのまで含めると10~30万ものお祭りがあると言われています。 夏は京都の祇園祭や隅田川の花火大会のように鎮魂や慰霊、疫病などの悪病退散が中心で、秋は豊作への感謝を込め行われます。 そう、京都の祇園祭はいまからおよそ1200年ほど前に疫病退散の願いを込めて始まったのに、いざ疫病が流行ったら中止になってしまう、主催者サイドからすればこれほど悔しい思いは無いと思います。その昔「豪雪FES」というフェスに出る予定が豪雪によって中止になったことがありました。まさにその気持ちだと思っています。規模はアレですけど。

祭りという言葉が入っていない祭り

さて夏のお祭りで隅田川の花火大会を紹介しましたが、花火大会もお祭りになるの?と疑問を持った方もいるかもしれません。 お祭りはくくりの幅が広く「岸和田だんじり祭り(大阪)」「仙台七夕まつり(宮城)」「三社祭(東京)」のように「祭」がつくものはわかりやすいですが、そうじゃないものもあります。たとえば「なまはげ(秋田)」「壬生の花田植(広島)「糸満ハーレー(沖縄)」など言葉は入っていない「祭」も多くあります。

お祭りの楽しみの一つである踊り

お祭りの楽しみの一つに踊りがあります。個人的には今年は無くなってしまいましたが、高円寺で見る阿波踊りは年間通してもとても楽しみのひとつでした。「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆ならおどりゃなそんそん」の阿波踊り。 日本全国には阿波踊りのように踊るお祭りが数多く存在しています。それも北から南に多様な踊りがある、なんだか不思議に感じたことはありませんか?これは偶然似たものなのか、誰かが伝えたものなのか。そのカギを握るのが船なのです。船は船でも江戸時代、大阪と北海道を結んだ運搬船「北前船」という船で、当時北海道から日本海を通って様々な港で商品を売り買いし、大阪まで運んでいました。この船が商品だけでなくお祭り文化も運んでいたのです。 阿波踊り(徳島)の源流は牛深ハイヤ節(熊本)と言われています。ハイヤは、この地方で南風を意味する「ハイの風」が変化してハイヤとなったと言われています。この南風は北前船が北上するのに欠かせない大切な風、その風を願う踊りが徳島へ渡り「阿波踊り」となり「津軽あいや節(青森)」「佐渡おけさ(新潟)」などに変化していったと言われています。
地元のお祭りや好きなお祭りを、地図を眺めながら歴史をたどって推測してみると、新しい発見があるかもしれません。そうすれば、また来年以降、お祭りが復活したときにより一層楽しめることでしょう。来年こそは思い切りお祭りを楽しめますように!
筆者:小林知之