地図記号の由来
「この地形図の中に地図記号はいくつあるでしょう?」こんな質問や問題を出された経験はあるでしょうか?僕も子供のころ一生懸命探した記憶があります。この質問が来ると子供たちは一生懸命に、地形図の中から知っている地図記号を探します「あった!神社!」「ここに交番!」素直で勉強熱心な子は隅から隅までくまなく地図記号を探します。そこで出題者の大人は言うのです「ここに書かれている道、建物、その全てが地図記号です。地形図は地図記号で出来ています」この時思いました「大人は何てずるいんだ」後にも先にも、このひっかけ問題が一番心に残っています。もう地形図を見ることをやめてしまいたくなる絶望感。そこから何とか持ち直して、いまは地図記号が好きなわけなのですが。意地悪な大人もいますが、どうか地図記号に悪気はないので、出題者の事は嫌いになっても、地図記号は嫌いにならないでください。
地図記号は古くに作られたものなので、その由来も現代では少し首をかしげたくなるものが多くあります。もう少し現代でもわかるような由来だったら覚えやすいのに!そう思っている人も多くいると思います。僕もそのひとりでした、けれど由来を知ると不思議と愛くるしさのようなものが出てくるのです。なので今回は個人的に由来の好きな地図記号5選を紹介します。
①税務署
そろばんの玉と軸を図案化したものです。いまの時代そろばんを知っている子どもはだいぶ少ないと思いますが、これは決められたことなのでしょうがない。税務署といえば、国民が納める側なので、勘定している税務署側の気持ちとして、はじくそろばんをモチーフにしたのでしょうか?少しニヤリとする税務署職員の顔が浮かびます。
②郵便局
これは知っている地図記号ランキングの中でもだいぶ上位にくるんじゃないでしょうか?郵便局、最初に観た時は、なんとなく、郵便ポストかな?とか、手紙を出すところだから手紙をカタカナにした「テ」を図案化したものなんだろうな、と思っていました、同じように思っていた人も多かったと思います。けれどもこれはテガミではなく、その昔、手紙を扱っていた役所が「逓信省(ていしんしょう)」という所だったため、その逓信省の「テ」なのです。難しい!結果的にカタカナの「テ」はあってたけど、理由が違う!答えはあってるけど中身が間違っているパターンです。
③灯台
工場の地図記号に似ているので、間違いやすいのですが、これは灯台の地図記号です。この由来は「灯台を上から見た形と四方八方に広がる光の様子」を表しているのです。いや、灯台上から見たことある人なかなかいないよ! ほとんどの人が横からしか見たことないでしょうから、なぜ横から見た様子を図案化できなかったのか、でも油井や船なんかも上から見たのだから、上からが好きなのかな…いや風車、煙突、竹林、、、まだまだ横から見た様子の記号あるぞ。
④短期大学
学校を表す「文」の地図記号の上にかっこをして短大…もう、短大だけでよかったんじゃないのかな?そう思ってしまうのです。でも学校だから文の文字は必要ですよね。この地図記号が一番テストに出ない地図記号ではないでしょうか。答え書いてあるし、はっきりと他と違いますし。由来も何も「短大」と書いてしまうその潔さが愛くるしいです。
⑤史跡・名勝・天然記念物
茶畑の地図記号を知っていますか?これも同じく黒丸が3つしかも同じ形で。違うのは大きさだけ、配列も同じです。茶畑の記号の由来はお茶の実を図案化したものなのですが、同じような史跡・名勝・天然記念物の記号、これだけ似ているのに変えないのには由来に秘密があるのだろう、と考えます。この記号の由来は「特に意味はない」えぇぇぇ!こんなに似てるのにーーー!特に意味はないってーー!ならちょっと変えてくれてもいいじゃないの!せめて配列変えるとか、ギュッとくっつけちゃうとかー!意味はないなんて言われたら、何も言えないじゃないのー!正式な決まりで、特に意味はないって、昔ならではな感じがしてなんか愛くるしいです。ちなみに村町役場の丸の地図記号も「特に意味はありません」
えぇぇぇ!地図記号って愛らしいですよね。
筆者:小林知之
筆者プロフィールはこちら